英和翻訳の大先輩「三浦按針」
執筆: 浜口 宗武 (董事長、株式会社知財コーポレーション CEO)
大連雅訳ブログシリーズ第1回は、「英和翻訳」の歴史に触れることができる夏のイベント、静岡県伊東市で行われる「按針祭」をご紹介しましょう。
三浦按針とは
按針祭の「按針」とは、江戸時代のイギリス人航海士・ウィリアム・アダムス( William Adams )の和名である「三浦 按針」に由来します。
按針は1564年にイギリスで生まれ、12歳で船大工に弟子入りして造船技術を学んだ後、イギリス海軍を経てロンドン会社の航海士となりました。日本に訪れたのは今から約400年前。「関ヶ原の戦い」からわずか半年前の、1600年4月29日だと伝えられています。
1598年6月、按針を載せた5隻の商船団は極東を目指して、オランダのロッテルダム港を出港しました。しかし5隻あった船のうち、ある船は敵国に拿捕され、ある船は太平洋で沈没し、日本にたどり着いたのは、按針の乗る「リーフデ号」たった一隻でした。そのリーフデ号も、疫病の発生などで航海中に次々と船員を失い、出港時の110名のうち生存者がわずか24名だったそうです。そのような過酷な航海を経て、按針は日本へとやって来たのです。
日本初の英和翻訳
徳川家康の庇護を受けた按針は終生、日本に留まり、外交顧問を務めました。また、幾何学・造船学・航海術などを日本に伝える過程で、日本で初めて「英文和訳」を行った人物としても知られており、イギリスとの通商交渉でジェームズ一世が家康公に宛てた書簡を翻訳したのが、その第1号と言われています。
この按針の功績を称えるイベント「按針祭」が、毎年8月に静岡県伊東市で行われています。第72回となる今年は8月4日(土)から8月11日(土)まで行われ、本祭となる8月10日(金)には、1時間に約1万発を打ち上げる伊豆最大の花火大会「按針祭海の花火大会」が催されます。
期間中の講演では、英和翻訳の元祖としての按針の側面にも迫っています。その他、お子さま向けのイベントなど盛夏らしく「海・船・英語」をキーワードにした企画が盛りだくさんです。詳細は、伊東市の特設ページをご覧ください。